INTRODUCTION
■監督:白石和彌
■出演:北原里英/ピエール瀧/門脇麦/リリー・フランキー
●撮影期間:2017年2月2日〜19日
●公開日:2018年2月9日(新潟・長岡先行ロードショー)/2月17日全国ロードショー
「2018年もっともヤバい映画」と呼ばれる作品『サニー/32』。メガホンを取ったのは『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督。主演を務めるのはNGT48でキャプテンを務める北原里英さんだ。
北原さんは自身のTwitterで「これは私の人生で事件です」とつぶやいた。この「事件」をぜひ劇場のスクリーンで見届けてほしい。
一部の合成カットは東京で撮影が行われたが、それ以外はすべて新潟県内でロケが行われた。撮影箇所は10箇所余り。メインロケ地は長岡市で、主人公が暮らすアパート、拉致監禁される物語のメイン舞台、そして一連の出来事の鍵となる14年前の殺人事件など重要場面のほとんどが撮影された。
STORY
11歳で同級生を殺害した少女。犯行直後にネットで拡散された写真で右手3本、左手2本のピースサインをしていたことから彼女には「サニー」というニックネームが付けられる。さらにその愛くるしいルックスから「犯罪史上もっとも可愛い殺人犯」とも呼ばれ、カルト的存在となってしまうのだった。
そしてサニー事件から14年後、新潟のとある町で中学校教師としてパッとしない毎日を過ごしていた藤井赤理(北原里英)はサニーの熱狂的ファンを名乗る男性二人組(柏原=ピエール瀧/小田=リリー・フランキー)によって雪山の廃屋に拉致監禁され、追い詰められていく。やがてネット上に「2人目のサニー」が登場したことにより、事態は思わぬ展開を見せていく。
DIRECTOR/白石和彌 インタビュー
初めて新潟県での撮影に参加したのは『標的 羊たちの悲しみ』(96)です。その後『完全なる飼育 赤い殺意』(04)、『17歳の風景』(05)と新潟での撮影が続きました。偶然にも全ての作品が冬の時期で、寒かったのを覚えています。だからでしょうか。『サニー/32』は脚本の段階から「新潟の雪山の廃屋ならびに海の家」というイメージを持っていました。
この映画の着想には2004年に起きた「佐世保小6女児同級生殺害事件(NEVADA事件)」があります。今回脚本を担当した髙橋泉さんとはあの事件のことについて、ことあるごとに話し合っていました。 この映画では『凶悪』でご一緒したピエール瀧さん、リリー・フランキーさんを再び登場させています。非常に信頼しているお二方なので、北原さんの相手役としてぶつけてみたいという思いがそこにはあったのですが、じつは『凶悪』とは2人の力関係が逆転しています。
かつてのアイドル映画は、アイドルが極限まで追い詰められることで比類なき魅力を引き出されていました。80年代の相米慎二監督の一連の作品を観ると、特にそう感じます。だから今回の映画では北原さんにはギリギリまで肉体的も精神的も酷使してもらっています。
また撮影期間が短く、天候も厳しいなか、いろいろとワガママにも近いオーダーを地元のロケ支援の人たちには出してしまいました。にもかかわらず、皆さん非常に協力的にフレキシブルに対応していただいたので大変助かりました。
撮影のない日でもロケハン、打ち合わせなどが入り、完全オフの日がないハードな現場でしたが、その合間に食べた長岡のラーメンなど、食事はとにかく美味しかったですね。寒く、厳しい撮影のなかで、心安まるひとときでした。
■白石和彌
1974年生まれ。北海道出身。
若松孝二監督に師事し、フリーの演出部として活動。『凶悪』(13)は、2013年度新藤兼人賞金賞をはじめ、第37回日本アカデミー賞優秀作品賞・脚本賞ほか各映画賞を受賞。ほかに『日本で一番悪い奴ら』(16)『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)など。公開待機作として、『孤狼の血』(18年5月12日公開)
北原里英 インタビュー
Q. サニーに出演して:
今年の冬を迎えたとき、自然に『サニー/32』のことを思い出していました。体が寒さを感じたときに、あの映画の撮影のことが心に浮かんできたんです。新潟の冬はレベルが違います。体が芯から冷え切って、寒くて泣いたのは、生まれて初めてでした。監禁された家から逃亡するシーンでは、じつは2階から飛び降りたはずみで靴が片方脱げてしまっているんです。演技を止めるわけにはいかず、雪原に体が埋まりながら必死に逃げ惑うあのシーン、片足は裸足でした。
Q. 白石監督について:
ずっと白石監督のファンで、『凶悪』は大好きな映画のひとつでした。ただハードな作品が多いので、お会いするまではどんな方なんだろうという不安はありました。実際の白石監督はものすごく優しくて、信頼できる方でした。クライマックスのシーンでは本当に恐怖を感じて動けなくなるというハプニングがありました。自分のせいで撮影を止めるのは心苦しく、どうしようと思っていたとき、白石監督が側に来て声を掛けてくださったんです。そのおかげで心がほぐれ、あのラストシーンを無事に撮り終えることができました。
Q. ロケ地長岡の印象は:
長岡は「ロケがしやすい」「(支援が)優しいところ」と以前から聞いていました。2016年にはドラマ『ひぐらしのなく頃に』の撮影でもお世話になった場所です。あのときはオフの時間があったので、新潟県立近代美術館でやっていた「ジブリ展」に出かけたり、宮内駅前の青島食堂にラーメンを食べに行ったりしました。今回は撮休日にはNGT48の仕事が入っていたので、どこかに出かけることは出来ませんでしたが、リリーさんの差し入れでカニやノドグロを堪能したときは「新潟らしい時間」を過ごすことができました。
Q. 今後女優としてやりたいこと:
今回は設定も役柄もかなり特殊でした。今後は主人公の女友だちなど「普通の役」も演じられるようになりたいです。
■北原里英
1991年6月24日生まれ。
秋元康プロデュースによるアイドルプロジェクト「AKB48」のメンバーとしてデビュー。同グループでの約7年の活動を経て、2015年より、新潟を活動の拠点とする「NGT48」チームNⅢのキャプテンを務める。女優としても多くの作品に出演。主な映画出演作品としては『ジョーカーゲーム』(12)、『任侠野郎』(16)など。
映画『サニー/32』ロケ地マップ
ロケ地マップはこちらからPDFファイルをダウンロードしてください。(11.8MB)